【共通テスト2024】世界史B解答・解説③

 

はじめに

前回に引き続き、2024年1月13日(土)に実施された「大学入学共通テスト世界史B」の解説をしていきます。

 

問題は次のURLよりご確認ください。

https://www.fukuishimbun.co.jp/common/dld/pdf/fe46d519cdc0e50ef3d02621341ca73c.pdf

 

今回は第3問の解説です。

 

 

第1問・第2問の解説はこちらからどうぞ。

 

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第3問 交通の発達が社会に与えた影響

A インド亜大陸における交通の歴史

問1 〔 18 〕マウリヤ朝の出来事【知識】

 空欄( ア )は、「マウリヤ朝」「自らの統治理念を刻ませた磨崖碑や石柱碑」とあるため、アショーカ王があてはまる。アショーカ王に関わる選択肢を選べばよい。

① 誤り。サータヴァーハナ朝クシャーナ朝と同時代。

② 誤り。エフタルの侵入を受けたのはグプタ朝

③ 正解アショーカ王は、自身の征服活動で多くの犠牲者が出たことを悔い、仏教に帰依し、ダルマに基づく政治を展開した。仏典結集や仏塔の建設、スリランカ布教などを行った。

④ 誤り。法顕が訪れたのはグプタ朝

 

 

問2 〔 19 〕インドの都市【知識】

① 誤り。第1回インド国民会議ボンベイ(現ムンバイ)で開催。

② 誤り。4綱領(英貨排斥・スワデーシ・スワラージ・民族教育)の決議は、1906年カルカッタ大会。

③ 誤り。タージ=マハルはアグラに建設。第5代皇帝シャー=ジャハーン。

④ 正解奴隷王朝は、ゴール朝の奴隷兵士(マムルーク)だったアイバクが建設。都はデリー。これ以降続く、デリーを拠点としたイスラーム政権をデリー=スルタン朝という。

 

 

問3 〔 20 〕インド亜大陸における各勢力の勢力圏【知識(+読取)】

 メモ1は誤り。図1を見てみると主要道が南端まで通っていないことがわかる。マウリヤ朝の最大領域は南端を含んでいないことを覚えていれば資料を読まずに解ける。

 メモ2は正しい。アンボイナ事件以降、イギリスはインド経営に力を入れ、ボンベイマドラスカルカッタを重要拠点とした。図2をみると、高速道路網はこの3都市を通っている。

 よって、正解は②

 

 

 

 

B 20世紀におけるアメリカの交通手段の変化

問4 〔 21 〕20世紀アメリカの出来事【知識】

(あ)は第一次世界大戦後の1920年代。大戦中、アメリカは連合国に対し、物資・戦債を提供して大きな利益をあげた。戦後アメリカは好況をむかえ、20年代の合衆国経済は「永遠の繁栄」を謳歌した。

(い)は第二次世界大戦中の1941年。まだ参戦していないアメリカが連合国を支援するために制定。フランクリン=ローズヴェルト大統領が議会に提出し認められた。

(う)は世界恐慌時の1933年。フランクリン=ローズヴェルト大統領によるニューディール政策の一環。公共事業による雇用の拡大を目指した。

 よって、正解は②

 

 

問5 〔 22 〕アメリカの鉄道利用に関する知識とグラフ読取【知識+読取】

 空欄( イ )は、1920年代前半における鉄道旅客輸送量の減少の要因を考える問題。1920年代前半は、戦間期であるため、(え)はあてはまらない。(お)が正しい。同時期にフォード車に代表される自動車の普及があった。

 空欄( ウ )は、グラフを読み取る。1940年代後半から1960年代後半にかけて、貨物輸送量は減少・増加を繰り返しているのに対し、旅客輸送量は一貫して減少している。Xが正しい。

 よって、正解は③

 

 

 

 

C ロシアの歴史と文化

問6 〔 23 〕19世紀後半のヨーロッパ情勢【知識】

 空欄( エ )は、資料1に「ロシア政府は・・・( エ )、オーストリアとの同盟」、会話文の藤井さんの発言に「同盟は1873年に締結された」とあることから、三帝同盟に関わるものであると判断できる。また、資料1に「ヴィルヘルム帝」という人物名も登場している。1873年の三帝同盟は、ロシア(アレクサンドル2世)・ドイツ(ヴィルヘルム1世)・オーストリア(フランツ=ヨーゼフ1世)による対フランス同盟である。よって、( エ )にはドイツがあてはまる。

 資料2では、フォン=メックは「フランスは、助かるためにはロシアと同盟するしかない」と考えている。しかし、フランスの大手新聞『フィガロ』紙は、「ロシアの政策に反対する記事」を載せていると記されている。フォン=メックは、自身の考えに反して、フランス紙がロシアを批判していることに、苛立ちを覚えていることがわかる。よって、下線部bの理由としてはXが正しい。

 よって、正解は①

 

 

問7 〔 24 〕クリミア戦争、アラスカ売却と鉄道【知識(+読取)】

 藤井さんのメモは誤り。ロシアはクリミア戦争で、英仏の支援を受けたオスマン帝国に敗れており、黒海北岸のベッサラビア(現モルドバ)を失っている。

 西原さんのメモは正しい。会話文の先生の発言に「1960年代後半にロシアは領土の一部をアメリカ合衆国に売却していますが、売却で得た資金も鉄道建設に使われました」とある。これは1867年のアラスカ売却を指している。1891年から1894年にかけて成立した露仏同盟により、ロシアはフランス資本を導入し、工業が急速に発展した。シベリア鉄道建設はその国家事業の一環である。

 よって、正解は②

 

 

 

 

最後に

第3問は〔 20 〕〔 22 〕で地図・グラフの読取が必要でしたが、難易度自体は易しかったと思います。

その他は、一問一答集で単語を暗記しているだけでは解けない問題が多かったですね。

一つ一つの事象や人物の年代や意味を把握しておく必要がありそうです。

 

次回は第4問の解説です。